子猫達の運命やいかに!

赤茶の子猫は知り合いの女の人に、白一匹は看護婦さんに ひきとられ、残るは白2匹とサビ色1匹・・・。
いたずらに時は過ぎて、毛糸玉のように小さかった子猫はどんどん バカでかくなる。
と、同時にやんちゃぶりも目立ちはじめ、会社中を 走り回って大暴れするもんだから、抜けた毛が舞い上がって、 とうとう毛アレルギーの社員がギブアップした! おーまいがッっっっ!!!! これ以上は会社で飼えないと判断した我々は、泣く泣く会長の家の隣りに 建てられたプレハブ倉庫に子猫達を移すことに・・・ 倉庫とはいっても、床は畳で人間が住もうと思えば住めるような住居。 ま、快適とはいえないけどね・・・・
ここなら大暴れしても叱られないよ。エサは毎日あげにくるネ・・・ いい子でいるんだよ・・・と言い聞かせると、キョトンとして無邪気に見 つめるまんまる目がむっつ。。。 うっ、うううう・・・ごめんよぉ・・・ 無責任にエサあげて、子供生めるような栄養つけさせて、それで可哀想な ノラ猫が増えていくんだなー・・・、あんたらに罪はないもんね。 人間の勝手がいけないんだよね・・・としみじみ反省・・・。
引っ越ししたのは12月の初め・・・外はむちゃくちゃ寒い。 今まで人間がいっぱいいる、ストーブもベッドも、子猫達お気に入りの マッサージ機イスもあるヌクヌクした部屋から、一転。 薄暗くて車が通るたびに部屋中がガタガタ揺れる、大好きな人間が誰も いないこの部屋で、子猫3匹はガンバって生きていけるのかな? ほかほかホットカーペットを敷いてもらっても、もう今までみたいに 年中人の膝の上でぽかぽかは眠れない。 仰向けで、両手両足伸ばして安心して眠りこけてる姿がおかしかったけど きっとこのコ達は、これからは保健所からひきとってきた頃のように 小さく丸くなってみんなで体よせあって眠るのだろう。
これからどうなっちゃうんだろう・・・不安が胸をよぎる。 ああ、神様・・・イエス様・・・ 軌跡がおこって、このコ達を可愛がってくれる人があらわれますように!! アーメン・・・
と思ってたらば、本当に軌跡はおこった・・・ クリスマスもおしせまり、街中が浮かれている12月も半ば、子猫が欲しい という女の人からメールが届いたのである。 しかも白い子猫が2匹欲しいという!(う、うまくいけばいっぺんに2匹もぉ?)
そうだ!メールがまったくこないからすっかりあきらめていたけれど、 インターネットで里親募集してたんだっけ!でも、あれからもう3ヶ月 はたっている。 「子猫」が欲しい・・・と書いてあるけど、はたして初めてこのコ達を 見た人が「子猫」と思うだろうか・・・。いや、大人の猫から見たら まだまだ小さいけれど、例えば子供が欲しい・・・と思ってきた夫婦が 紹介された子供は、子供は子供だけど中学生だった・・・くらいの衝撃 はあるかもしれない・・・。 相手は、わざわざ引き取りに会社までご足労ねがってくださるというの だから、期待を裏切ることはできない。 良心がチクチクッと痛んだ私は、正直にお返事した。
「子猫が、生まれたての、とても小さなものを想像していらっしゃったら それよりは、ちょっと大きいかもしれません。それでもいいですか?」 と・・・。 もちろん、周りからは「ちょっとーっっ?かなり、とかだいぶ・・・の 間違いだろ!?」と非難されつつ・・・。 いいじゃん!子猫は子猫だもんっっ。。生まれて4ヶ月しかたってない んだもんっっ それに見て抱いたら情がうつるってこともあるっしょ!と、強気で言 ってみたものの、 「それじゃあ、ぜひ見にいかせて下さい」と返事がきた時は、胃が キリキリッと痛くなった・・・

見にくるという前日は、娘をお見合させる前の母のような心境で、 大きさはもうどうしようもないから、可愛いリボンでもつけて 少しでも見栄えをよくさせよう、とか会長夫妻の家から、 すっかりデブ猫と化したホワイトを連れてきて、小ささを強調させ ようとか、あーでもないこーでもない・・・とパニくっていた。 親の心子知らず・・・で、ちょうど3匹は風邪をひいていて、目は ショボショボ、青っ鼻たらしてボーッとしている。

はぁ・・・こりゃ、ダメかも・・・。 きっと、誰もがそう思っていた。

当日、朝から仕事が手につかない。電話を待ってウロウロソワソワ・・・ 来る前に電話をくれると言っていたけれど、PM6:00になっても先方 からの連絡はなし・・・。 ますます絶望が襲ってくる。その時だ!電話が鳴って、すぐ側まで来て います・・・というではないか。 もう、ひきとってくれなくてもいい!でも風邪ひいているのに、無理矢理 シャンプーさせられた子猫達の苦労の顔は見てやって欲しい・・・ 側まで迎えに行くと、そこにはハッとするほど美しい美人姉妹が立っていた。 それだけでも、何か申し訳なくて気がひけたのに、手にもっているのは・・・ そ、それはもしかして・・・猫用キャリーバック・・・
はっ!もしかして、もうひきとる準備万端ってコトですか!?

またしても胃がキリキリッ・・・としてくる。 頼む!粗相はしないでくれよ・・・子猫たち。。。

その気持ちが通じてか、子猫はおとなしく、しかも人なつっこくお嬢さん 達に甘え、美人姉妹ふたりのハートを見事にゲットしたのだった。

ああ、キャリーバックに入れられ去っていく子猫達を見て、心底うれしく て泣けてきた。 よかったね!アンタ達にも、最高のクリスマスがきたね・・・ メリークリスマス!!心の中で我々はそう叫んでいた・・・

 


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