すべてはここから始まった 

3月某日、断りもなく我社のベランダに不法侵入し、置いてあったダンボールに勝手に産み落とされた4匹の子猫達。 あらら…
ノラ母マミィーにクリソツの真っ白な子猫は゛ホワイト゛、キジトラ模様の子猫2匹は゛ライアン゛と゛トラ吉つぁん゛、そしてまるでくつ下をはいているように足だけが白い子猫は、他の子猫達の名前がもめたにもかかわらず、全員一致で決まった゛ソックス゛と命名され、動物大好きの仕事仲間達に愛されて仕事場の外(ベランダ)でクウ、ネル、アソブの気ままな居候生活をしていくことになる。そして後に、同じ屋根の下、同じ母猫から同じ日に生まれたにもかかわらず、それぞれまるで違う運命をたどっていくことになるのであった。

てなわけで、まず、まだ足腰も立たないような赤ぴっぴのうちに、ダンボールの外にはみでてフニャフニャ鳴いていたところ、会長夫妻にひきとられたライアンは、甘え上手のキュートな箱入り娘となり、それから1ヶ月後、こんどは歩き回るようになった子猫達をひきつれてマミィーがベランダから初めての遠出。その時、なぜか置き去りにされアオアオ鳴いていたホワイトを、これまた会長夫妻がひきとることになった。ホワイトはもともと白血病の美少年のようで(色が白くていかにもといった感じ)、ノラとして生きていけるのかと心配していたので我々も一安心。

そんな中でむかえたムンムンむれむれ脇の下の6月、我社で大量のノミが発生!「うげぇ〜、かゆぃいいいいいいいいいい」の悲鳴とともに、ベランダでヌクヌク居候していた猫親子は、ベランダの外に追い出され、急遽会社の庭に『猫小屋』を作ってもらい、そこで生活することとなった。

それがプライドの高いマミィのお気に召さなかったのか、親子ともどもプッツン消息不明に。1週間後に帰ってきた親子は見るも無惨なほどガリガリに痩せこけ、毛並はボロボロ、そして子猫達のつぶらな瞳は、まるで獲物を狙う鷹のように鋭くきつくなっていた。「うっうっ… 苦労したんだねえ…」さっそくご馳走を並べて旅の苦労をねぎらってやる。

その頃、会長夫妻にひきとられていたライアンとホワイトはといえば、クーラーのきいた部屋でヌクヌクのびのぉ〜びしながら、腹見せて寝てたんだから… うっうっ… 幸せすぎるぜ!おまえら…
ああ、こうしてほんのわずかなキッカケで人生(猫生)って変わっていくのね…。ふっ…(遠くを見る目)

ところで、マミィはノラとは思えないほどの美猫である。真っ白ツヤツヤの毛並みにキュンととがった逆三角形の小顔。ピンクのお鼻に茶色の大きな瞳が印象的で、プライドの高さも猫一倍!家もエサも与えてもらっているのに、ちょっとでも手を伸ばすと本気でひっかく。「エサあげてんだから、少しは触らせろってんだよ」と怒る我々は、まるで「プラダ買ってあげたんだから、一回くらい寝ろよ」と言っているオヤジのようで、「勝手に買ってくれたのはそっちじゃ〜ん」と天下をとったコギャルのごとく態度のデカいマミィ。

そんなマミィは、毎夜、子供をおいてでかける。(朝方まで帰ってこないこともある)
まあ、子持ちとは思えない美貌で、他の雄ノラがほおっておかないのもわかる!うんうん…
でもだからって、毎晩子供ほおってコギャルが夜遊びするかのごとく、チャラチャラと遊びにいくなよぉ。んで、ハラボテにされて帰ってくんなってば!!!!!!
「でも猫って、普通年2回しか子供産まないんだよねぇ」と、腹ボテマミィを見ながら「これじゃあネズミ算じゃなくて、ネコ算じゃん」と途方にくれる我々。そんなこんなで、まだまだ甘えたい盛りのトラ吉つぁんとソックスはマミィに親離れを強要され、その直後、トラ吉つぁんが、ある事情で人にもらわれたというか盗まれたというか…(説明すると長いので、これはまた今度)

マミィは、ますます腹がデカくなってしんどそうにソックスを無視!それでも母を求めるソックスに、何もかもイヤになったのか、とうとう家出。一匹だけになってしまったソックスは、さみしさにアオアオ泣き続ける。

産まれた頃、他のどの子猫より我々のアイドルだったソックス(模様が可愛いから)が、一番過酷な運命をたどることになってしまった。とはいっても、すっかり野生化してしまったソックスは、我々を側によせつけない。でも猫小屋(会長がますます過ごしやすく改造した)に住みつき、置いてあるエサは食べる。そのうち、人妻Rの仕事部屋(我社は個々仕事部屋がある)のベランダに放置してあったネコのトイレ(ライアン達のお古)に用をたすようになり、エサもそこに置いておくと食べるようになった。

 

この皿の奥にソックス専用のトイレがある。

ソックス登場! クンクン、おい!メシはいってないじゃないか!キッとこっちを睨む。
ちょっくら出かけてくるから、それまでには用意しとけよ!ケッ… と去っていく…
手前に見えるのが、トイレですぅ。

この撮影後、ほおっておくとRがいてもベランダから部屋の中にあがりこむようになり、おっ、慣れたかな?と思わせておいて、人を見ただけで逃げだすこともある。(ふっ、気まぐれなのね…つまり)
そうそうRの留守にいつのまにかあがりこんでいて、机の裏にでっかいウンコをしたこともある。
で、もっとずうずうしくなると日中はどこかでずっと遊んでいて、PM9:00からPM10:00の間に帰ってきて、ベランダに来てアオアオ泣く。まるで「亭主が今、帰ったぞ!メシだっ」と言っているかのように…。そのくせ窓を開けると、必ずフゥッ!!と威嚇する。メシ食いたいのかどっちなんじゃい!!家ではメシも作ったことのないRは、なぜか亭主関白のソックスの貞操な妻のごとくいそいそと食事の支度をしたりなんかして…。

が、ここ1週間、ソックスの姿を見た者はいない。気まぐれで家出したか、もっと美味しいものもらえるところに行ったか、それとも、ああ、考えたくなけど事故!? 
他の兄妹の中で、唯一ノラとして生きていくことを選んだ(?)ソックス。風来坊としてたくましく歩いている足だけ白いネコがいたら、それがソックス。

で、また気がむいたらフラッと古巣に帰ってきて、旅の疲れを癒して欲しいと願うのであった。

 

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